フキノトウは、春の訪れを知らせる食べ物として有名ですよね。雪の下から顔を出しているイメージが強いですが、意外なことに日本で最もフキノトウの生産量が多いのは愛媛県。豊かな土地で冬を越したつぼみには、栄養が凝縮されています。
今回は、そんなフキノトウならではの栄養素や効能についてチェックしてみましょう。
フキノトウの苦み成分は天然の解毒剤!
フキノトウといえば、ほろ苦い風味が特徴。この苦み成分には、老廃物の排出を促したり病気やアレルギーを防いだりといった解毒剤のような効能があります。
特に代謝の落ちる冬場は、老廃物がたまりやすいです。それをフキノトウなどの苦みのある野菜でリセットすることから、「春の皿には苦みを盛れ」ということわざがあるほど。フキノトウが昔から体にいい食材として知られていたことが分かりますね。
そんなフキノトウの苦み成分は、複数のポリフェノールによって構成されています。それぞれにどんな特徴や効能があるのかをチェックしましょう。
アルカロイド
アルカロイドには、肝機能を高める作用があります。肝臓は食べ物から吸収した栄養素を体に必要な成分へと作り変える、代謝をつかさどる臓器です。アルコールを分解する役割を果たしていることでも有名ですよね。
冬はクリスマスや年末年始で、食べたり飲んだりする機会が多いもの。そのため、肝臓にはいつも以上に負担がかかります。しかしフキノトウに含まれるアルカロイドが肝臓を活性化させ、代謝を高めてくれるのです。
ケンフェロール
ケンフェロールには、多くのポリフェノールと同じく抗酸化作用があります。なかでも、発ガン物質から細胞を守ることが分かっている栄養素です。近年はアレルギー物質の抑制にも期待が高まっています。
また、抗酸化作用によって血管細胞の劣化を防ぐので、動脈硬化などの生活習慣病の予防にも効果的です。
フキノール酸
フキノール酸は、フキ特有のポリフェノールです。古くからフキはのどの炎症や咳を抑える薬草として重宝されてきましたが、この効能を持っているのがフキノール酸だといわれています。
さらに近年、花粉症のアレルギー症状を緩和することも分かってきました。本来フキノトウの苦み成分は、虫に食べられないために作られる毒。ですから食べ過ぎは禁物ですが、薬のように毎日少しずつ食べることで花粉症が軽くなるかもしれませんね。
体の調子を整える栄養素も豊富
ここまで、フキノトウの苦み成分について解説してきました。しかしフキノトウには、ほかにも体に嬉しい栄養素がたっぷり含まれています。主なものを3つ、ご紹介しましょう。
ビタミンE
フキノトウに含まれているビタミン類のなかでも、特に豊富なのがビタミンE。ポリフェノールと同じく抗酸化作用があります。また、肌の調子を整えてくれることから「若返りのビタミン」とも呼ばれることも。
さらに血行を良くしたり、血液中のコレステロールを抑制したりする作用もあります。
カリウム
ミネラルの一種であるカリウムは、体内の余分なナトリウムを排出します。ナトリウムは塩や醤油といった調味料に多く含まれており、摂りすぎると高血圧の原因に。そのため、日ごろからつい塩分を摂りすぎてしまう人は、積極的にカリウムを含むものを食べるといいでしょう。
また、カリウムはナトリウムとともに余分な水分も体外へ出してくれます。そのため、むくみの予防や改善にも最適な栄養素です。
フキノリド
新鮮なフキノトウからは、すがすがしい香りがしますよね。この香り成分のことを、フキノリドといいます。
フキノリドには、胃腸の消化液の分泌を促す作用があります。食べたものの消化がスムーズに進むため、お腹の調子が良くなったり胃もたれしにくくなったりすることも期待できますよ。
旬の食材で体の調子を整えよう!
春の風物詩として知られるフキノトウには、ほかの食材にはない栄養もたっぷり詰まっています。この時期だけの味や香りを楽しみながら、体を内側から整えられるなんてお得ですよね。1月から4月頃まではスーパーなどでも出会えることが多いので、定番のフキ味噌や天ぷらを味わってみてはいかがでしょうか。